【歌詞解説】Dawn Chorus / Thom Yorke – 革新的なラブソング

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トム・ヨークの3枚目のソロアルバム『ANIMA』の中核を担うラブソング。Netflixで配信された映像作品にも使用されている。ラブソングにもはやメロディは必要なくなった。 

【歌詞】

Back up the cul-de-sac
Come on, do your worst
You quit your job again
And your train of thought
If you could do it all again
A little fairy dust
A thousand tiny birds singing
If you must, you must
Please let me know
When you’ve had enough
Of the white light
Of the dawn chorus
If you could do it all again
You don’t know how much
Pronto pronto, moshi moshi
Come on, chop chop

If you could do it all again
Yeah, without a second thought
I don’t like leaving
The door shut
I think I missed something
But I’m not sure what
In the middle of the vortex
The wind picked up
Shook up the soot
From the chimney pot
Into spiral patterns
Of you, my love

You take a little piece
Then you break it off
It’s a bloody racket
It’s the dawn chorus
If you could do it all again
Big deal, so what?
Please let me know
When you’ve had enough
It’s the last chance
O.K. Corral
If you could do it all again
This time with style

 

【日本語訳】

行き止まりで引き返して
さあ、思うままにしてみてね
仕事も辞めていいよ
思い悩むのも止めてみて…
もし全てやり直せるなら
ほんの少しの妖精の粉
千羽の小鳥が歌っている
もしそうならやるしかないよね…
どうか教えてね
あなたが飽きたときはね
白い光や
夜明けの歌に…(※)
もし全てやり直せるとしても
あなたは知らないわ
どれくらいの代償が必要か…
もしもし もしもし(※)
さあ いますぐ 今すぐよ

もし全てやり直せるなら
そんなの考えるまでもないよ
君と離れたくないんだ
ドアは閉ざされてて
なにか物足りない気持ちがする
でもそれがよくわからないんだ…
渦の真ん中で
風がぼくを巻き上げて
すすを巻き上げて
煙突の先から
渦の模様で
君の…ぼくの愛

 

ほんの少しの平穏
あなたがそれを手放すまで
それは血にまみれた騒音で
それは夜明けの歌なの…
もしあなたが全てをやり直せるなら
それはたいしたものでしょ?
どうか教えてね
あなたが飽きたときは
これが最後のチャンスよ
O.K.コーラル(※)
もしあなたが全てをやり直せるなら
いまはそんな表現なのよ

 

 

アルバム名と映像作品についてはこちらで解説しています

 

【歌詞解説】 

輝かしいラブソング。 失望から抜け出そうとする希望に満ちた愛の歌です。

Dawn Chorus とは「夜明けの鳥のさえずり」のことです。

Netflix版の動画でも、最後に「チュンチュン…」という鳥の鳴き声が流れていましたよね。あれがDawn Chorus(ドーン・コーラス)です。英語圏でも日本でも、共通した「夜明けの象徴」というイメージでOKです。

 

二人の語り手

歌詞は3つの段落に分かれています。それぞれ以下から始まる部分です。

1. Back up the cul-de-sac…

2. If you could do it all again…

3. You take a little peace…

 

1と3が「You」への語りかけ、2は「I」の独白という構成になっているところから、1と3は第二者からの主人公への語りかけ2は主人公自身の心情と読み解きましょう。

『Ok Computer』の『Lift』も第二者からの語りかけで構成されていましたね。『Dawn Chorus』では、それが進歩しており、対話形式になっています。

 

これ以上はきっと、解説は必要ないですね…。

此処から先は…ぜひあなたの心でお聴きください。

 

印象的な用語のみ深読み解説

If you could do it all again

「もし全てをやり直せるなら」という表現が何度も出てきます。これは「やり直せる」と捉えるのも良いですが、どちらかというと「生まれ変わる」というニュアンスの方が強い気がします。

冒頭の「行き止まりで引き返して(解消して)」や、終盤の「あなたがそれを手放すまで」という表現から、「過去(わたし)のことは忘れて、次に進んでいいのよ」という堅い決意が見え隠れするからです。

 

Pronto pronto, moshi moshi,

Pronto はイタリア語で電話の最初に言う言葉です。つまりは「もしもし」です。

続けて日本語の「もしもし」も出てくるので、日本人は思わずクスッとしてしまいますね。トムはかなりの親日家で、日本語が上手いのです。(英語圏の人たちはきっと「エキゾチックな感じがする〜」みたいに感じるはずです)

ちなみにイタリア語が出てくるのは、いまのトムの交際相手がイタリア人(デジェイナ・ロンチオーネ/Netflix版の映像作品でもヒロインを演じていた)であることも関係するのでしょう。

きっと以下みたいな感じで書いてたんじゃないですかね!

トム「ねえデジェイナ。イタリア語で話を始める前って何ていうのかな?」

デジェイナ「Prontね。電話の話だけどね」

トム「それ素敵だね。ちなみに日本語なら”moshi moshi”っていうんだよ」

もっと深読みすると、前述の『Lift』も日本人の手紙が歌詞のベースになったという逸話があるので、何かしらの関連性を感じてしまいますね。(もしかしてトムは本当に日本に忘れられない彼女がいるのでしょうか)

 

O.K. Corral

Corral(コーラル)とは、馬車をつなぎとめるための柵のことです。そして「O.K. Corral」は、日本では「OK牧場」として知られています。(→OK牧場の決闘 – Wikipedia

※「牧場」は誤訳なので、正しくは「O.K. 停車場」と言うべきですが、語呂が悪いので一旦日本語訳はなしとしました。もちろんガッツ某は関係ありません。

「OKコーラル」は歴史的に有名なカウボーイの銃撃戦が行われた場所のことで、歌の中では、いまから戦いが始まる前触れとして登場していると思われます。

生まれ変わるために代償を払わなければいけない。そのためには戦いに臨む必要がある。その心境を象徴した言葉選びなのではないでしょうか。

 

 

 

(了)

 

 

<あわせて読むとさらに深読み>

アルバム名と映像作品についてはこちらで解説しています

 

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